読むサラダ〜ある作家の挑戦〜

140字小説家✒︎『Twitter novelist』による新しい文学への挑戦記。文字を使って様々な文学への可能性を追求します。一緒に作品を作りませんか?

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『心の虹』ブログ小説NO.45

心の虹 この世で一番、僕は科学の授業が大っ嫌いだ。 白衣を身につけた先生が僕ら生徒に小難しい知識をぶつけるだけ。 科学の知識をつけて何になる。みんなが先生のように頭が良いわけじゃない。 毎日そんな不満に心がすさんでいた。 「何か質問は?」 先生…

『階段』ブログ小説NO.44

階段 夜 そう 毎晩だ 階段の夢 どこまでも 遥か彼方まで その階段は続く 見えない行き先へ 汗を流しながら登る この階段は人生の暗示 ゴールに何が待つのか? 知りたければ登るしかない そこに必ず光があると信じて 私は今日も登る。夢よ醒めるな 今日こそは…

『笑う意味』ブログ小説NO.43

笑う意味 「残念ですが…」 私は診察室で泣き崩れた。たとえ治せなくても医師であるならば、希望を持てる言葉を聞きたかった。 可能性は0。そういう台詞だ。 私は退院を決意し、余生を好きなことに使うことにした。 大好きだったお笑いのまだ売れていないコ…

『消失病』ブログ小説NO.42

消失病 消失病。 それは国家に指定された難病の中で、1億人に1人という最も重い後天性の病だ。 令和後半に罹患者が国内で確認され始め、瞬く間に危険な病気だと認知された。 消失病は身体の成長に連れて、徐々に皮膚を含めた細胞が透明になっていくものだ…

『沈黙』ブログ小説NO.41

沈黙 「いつも応援してくれてありがとう。みんなと出会えて良かった。また来世で会おうな!それでは聴いてください。僕らの最後の曲『沈黙』」 ドームが歓声で揺れる。 ライブの終曲なのに会場を埋め尽くした数千人のファンは帰る気配もない。 「さぁ、もう…

『万華鏡』ブログ小説NO.40

万華鏡 霞雲の上に座り、万華鏡であの子を探す。 ぼんやりと青く光る筒をゆっくり左に回し、彼女の過ごした時を遡った。 彼女は幼い頃に事故で両親を亡くし、それでも笑いながらこれまで歩いてきた。 時には孤独で涙を流す夜もあったけれど、決して人に見せ…

『書き出しだけ大賞』を狙う✒︎

とにかく楽しい こんにちは。とうかいりんです。 7/15に〆切が迫ったTwitter企画の『書き出しだけ大賞』。サンクチュアリ出版さんが手掛ける面白い文学賞です! ルールは簡単。 『書き出しの一行』だけで、どれだけ面白い作品と思わせることができるか! 楽…

『夜喰虫』ブログ小説NO.39

夜喰虫 蝉が夏を奏でる。 そよ風に呼応するように風鈴の音が後を追う。 今も昔も変わらない日本の夏の風景。 風呂上がりに家族でスイカをかじる。それが一番の楽しみだった夏の夜。 「昔はね、夏といえば蚊やハエに悩まされたものよ」 母が聞いたことのない…

『召喚』ブログ小説NO.38

召喚 赤く光る人差し指を突き立て、一直線に大地へと落とした。 指先で素早く魔法円を描くと両手で印を組み、術を唱える。 辺り一面が闇に包まれ、イメージしたモノを自在に呼び出すことができた。 『召喚士』 私は魔法学校を首席で卒業し、皆の憧れの的とな…

『希望のランタン』ブログ小説NO.37

希望のランタン 「いらっしゃい」 カランと店内入口の鈴が鳴ると同時に老婆が僕を睨らみながらそう呟いた。 「ここで希望のランタンが手に入ると聞いたんです。不治の病の母を治したくて」 店内には極彩色に輝くランタンが所狭しと並んでいた。 一つ一つが繊…

『輪廻転生』ブログ小説NO.36

輪廻転生 夏の蚊は願った。 人に忌み嫌われる存在でなく、喜ばれる存在になりたいと。 『神は蚊から針を奪い、代わりに光を与えた』 蛍は願った。 儚い命で飛び回るよりも大地を強く駆け回りたいと。 『神は蛍から光を奪い、代わりに脚と角を与えた』 ユニコ…

ついに家族が見つかりました🐈

運命 こんにちは。とうかいりんです。 この日曜日!ついに我が家のきな子にもらい手が見つかりました! その女性は来場するなり、じーっときな子のケージを見つめてくれていました。 考えること30分。 「だっこしますか?」と聞いてみると、「はい」と。 …

『白と黒』ブログ小説NO.35

白と黒 満月が二人の術師を見守る。闇が深まり、怪鳥がけたたましく鳴いた。 白と黒の術師は目元だけ晒し、互いを威圧している。交錯する視線がお互いの体を縛り付け、命のやり取りを慎重にさせた。 空気が張り詰め、風が運んできた木の葉をその圧で真っ二つ…

『一輪の青い花』ブログ小説NO.34

一輪の青い花 一人の花屋が世界から煙草をなくすなんて誰が想像しただろう? 老いた男は花の香りの研究に一生を費やした。別に煙草が憎かったわけじゃない。 ただ、自分のくわえ煙草で孫娘に火傷をさせてしまった心の傷をずっと癒したいと思っていた。 煙草…

『運命』ブログ小説NO.33

運命 右手をふわりと浮かし、駒を置く。長い銀色の髪が逆立つと同時に雷が轟いた。 「そうきたか」 こちらも駒を掴み取り、角にそっと置いた。金色の神が風を受けて激しく暴れる。 「そろそろ新しい時代にするつもりか?」 目の前から鋭い眼光とともに低い声…

『コールセンターの一日』ブログ小説NO.32

コールセンターの一日 「大変お待たせいたしました。ご用件をお伺い致します」 鳴り響く電話の嵐。 着信音の合唱は、窓の外の蝉時雨に決して負けていない。 太陽の灼熱と冷房の極寒の狭間で、私は今、処理し終えたばかりの受話器を置いた。 お茶を一口含む暇…

『コスプレ』ブログ小説NO.31

コスプレ 彼女はコスプレに命を懸けていた。 他のコスプレイヤーと違って彼女が一際異彩を放っていたのは、そのコスプレが特殊過ぎること。 車椅子に乗り、サングラスを掛けては杖をつき、包帯で全身を包むこともある。時には点滴をしながら水着を着ることも…

『挫折』ブログ小説NO.30

挫折 小学校。 苦手な科目についていけず勉強で挫折した。 中学校。 みんなとの必死なレギュラー争いに耐え切れず部活で挫折した。 高校。 今までの友達がいなくなり、クラスに馴染めず人間関係で挫折した。 大学。 なりたい自分が見つからず将来や夢に挫折…

『生きる』ブログ小説NO.29

生きる 僕は今、額に銃口を突きつけられている。それも街のど真ん中で。 映画やドラマの撮影などではない。 周りの人々は悲鳴をあげ、慌てて通報してくれている人もいるがとても今からでは警察が間に合いそうもない。 「あぁ、毎日がつまらない」 その一言を…

第40回・横溝正史ミステリ&ホラー大賞

間に合うか こんにちは。とうかいりんです。 いよいよやってきました!年に一回のビッグタイトル! 2019年9月30日が締め切りです 応募要項分の原稿は書き終わっていますが、推敲が全然間に合わず、毎晩悩んでは寝落ちしています(;´д`) ミステリー作家の最高…

『変わらぬもの』ブログ小説NO.28

変わらぬもの 「お前に謝らなければならないことがあるんだ」 「何?気持ち悪いな、父さんがそんなにあらたまって」 僕は明日から一人で生活するために異国に旅立つ。 母親がいない中、父さんは本当に僕を頑張って育ててくれた。僕が酷い態度をとった時には…

決まらない家族✒︎

頑張れきな子 まもなく我が家に来てから8ヶ月が経とうとしている『きな子』です。 サビ猫は猫の種類の中でもずば抜けて賢く、最近では「今日は新しい家族を探す譲渡会の日だ」ということが分かるようになったみたいなんです。 そんな日は朝から様々な場所に…

『手を繋ぐ』ブログ小説NO.27

手を繋ぐ 今日初めて彼女と手を繋いだ。 ずっと勇気が出なかった。毎日一緒にいるのにタイミングを失っていた。 放課後、珍しく彼女は何も声をかけてこなかった。ハンカチで顔を抑えながら教室からいつもと違う方向に歩く彼女が気になった。 「ごめん、俺ち…

『雨café』ブログ小説NO.26

雨café 冬の桜に夏の銀杏。 時代とともに科学は進歩し、日本から四季を奪った。一年中が快適な世界。 科学技術は雨を必要な場所にだけ降らせ、災害すらも根絶した。 現代の人々は季節の移り変わりによる衣服の変化すら知らない。テレビ番組では連日『日本の…

『音を奏でる島』ブログ小説NO.25

音を奏でる島 ここは音を奏でる島。 私たちだけの民族が暮らす島だ。 生まれた時から周りに楽器が溢れ、私たちは音楽と共に生きていく。それは呼吸することと同じくらい自然なこと。 そんなこの島の成人式は少し変わってる。 「さぁ、これらの中から一つを選…

オンラインサロン『タムココ』

天才を支える人がいる こんにちは。とうかいりんです。 西野亮廣エンタメ研究所を通じて、西野さん本人と初詣⛩に行かせてもらって作家になることを誓った1月。 今や、満願寺で個展を大成功させ、次はとんでもない場所で個展を準備する天才には、影で支える…

『ファスナー』ブログ小説NO.24

ファスナー 真夏の日差しが照り付ける灼熱の中、限られた視界でテーマパーク内を走り回っていた。 アスファルトの絨毯が蜃気楼のような煙を吐く。 朦朧とする意識の中で、子ども達の歓声に何度も救われた。 テーマパークの着ぐるみ。孤独と背中合わせに幸せ…

1時間でどれだけ書けるか✒︎

実験 こんにちは。とうかいりんです。 いざ机の前に座り、パソコンを立ち上げ一時間でどれだけの文字数を書くことができるのか。 数日にわたって実験してみたところ、ひどい時は数百文字、波に乗っている時は数千文字というように10倍以上の差が出ました。 …

『どこでもドア』ブログ小説NO.23

どこでもドア 毎日が憂鬱だった中2の冬。 学校も友達も家での生活も、なにもかも全てが嫌だった。 「なんで?」なんていう簡単な疑問文に答えられる回答すら自分の心の中に用意できていない。 とにかく殻を破りたい。その殻が何なのかは分からないけれど、…

『夜市』ブログ小説NO.22

夜市 静かな森で人魂が淡く青白い光で揺れている。怪鳥の囀りがさらに夜を深めた。 ここは夜市。 そう、絶対に立ち入ってはいけない場所だ。 何かと引き換えに、なんでも手に入れられる場所。僕はランタンを片手にここまでさまよってきた。 いつの間にか乾い…