読むサラダ〜ある作家の挑戦〜

140字小説家✒︎『Twitter novelist』による新しい文学への挑戦記。文字を使って様々な文学への可能性を追求します。一緒に作品を作りませんか?

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『星流し』ブログ小説No.2

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星流し

旅人たちは空き缶に星屑を集めてまわる。真っ暗な草原ではこの小さな光だけが希望だ。


無くしたプルトップはもう見つからないけれど、代わりに無数の星を拾って缶に入れていく。


星が缶の底に落ちる時のカランという音が心地良い。


缶が星屑で満杯になると旅人たちは缶を振り、大きな流れ星を人間界に1つ落とした。

 

そして耳をそっとすます。

 

人間の願い事が聴こえるこの瞬間が旅人たちは好きだった。

 

「さぁ、また星屑を集めよう。今度は少し違う色を探してみようか」

「そうだね。何か新しい楽しみを見つけなくちゃ」

 

旅人たちの足音だけが響く世界。

 

永遠に続く闇の中で、新たに生まれてくる星はいつ見ても美しい。

 

この世界で役割がある限り、彼らの旅はまだ続く。

 

その旅の苦労を思えば、いい加減な夢など願えるはずはない。彼らは本当に叶えたい君の夢を待っている。

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