星流し
旅人たちは空き缶に星屑を集めてまわる。真っ暗な草原ではこの小さな光だけが希望だ。
無くしたプルトップはもう見つからないけれど、代わりに無数の星を拾って缶に入れていく。
星が缶の底に落ちる時のカランという音が心地良い。
缶が星屑で満杯になると旅人たちは缶を振り、大きな流れ星を人間界に1つ落とした。
そして耳をそっとすます。
人間の願い事が聴こえるこの瞬間が旅人たちは好きだった。
「さぁ、また星屑を集めよう。今度は少し違う色を探してみようか」
「そうだね。何か新しい楽しみを見つけなくちゃ」
旅人たちの足音だけが響く世界。
永遠に続く闇の中で、新たに生まれてくる星はいつ見ても美しい。
この世界で役割がある限り、彼らの旅はまだ続く。
その旅の苦労を思えば、いい加減な夢など願えるはずはない。彼らは本当に叶えたい君の夢を待っている。