夜空の箱舟
夜空に浮かぶ観覧車は今日も夢を乗せて回る。
その箱型の小さな空間に抱えきれないほどの大きな夢を乗せて。
観覧車は知っている。
乗ってくれるお客さんは前を向いて夢を追いかける人ばかりだと。暗い気持ちでこの箱舟に乗る人はいない。
ある老夫婦は今までの人生を振り返り、お互いここまで寄り添ってくれたことに感謝した。若い頃に一緒に乗った思い出は、何度聞いていても心地良い。
ある男女はこの場所でプロポーズをした。揺れて指輪が船内に落ちないように、風を受けながらぐっと堪えたものだ。
この箱舟の中に何万もの笑顔があり、何万もの涙があり、その数だけの物語がある。毎日この空間に幸せが充満していく。
ゆっくりと長くて短い一周を楽しんだら、夢を追いかける人たちの背中を今日もそっと押そう。
いってらっしゃい。