運命
右手をふわりと浮かし、駒を置く。長い銀色の髪が逆立つと同時に雷が轟いた。
「そうきたか」
こちらも駒を掴み取り、角にそっと置いた。金色の神が風を受けて激しく暴れる。
「そろそろ新しい時代にするつもりか?」
目の前から鋭い眼光とともに低い声が飛んでくる。
「いや、まだ早い。世界の人口をもう少し調整してからじゃないと面白くないからな」
「それもそうだ。しかし、そろそろ退屈になってきているのも事実だな」
銀色の髪をかきあげながら、『厄災の駒』を左手で握る姿が見えた。
「あんまり激しく盤面を変えないでくれよ」
「あぁ、こいつはまだ置かない。良い人間もかなり増えてきたからな」
こちらは『希望の駒』を握り締める。
僕らの運命はいつだって神のボードゲームの中なんだ。