万華鏡
霞雲の上に座り、万華鏡であの子を探す。
ぼんやりと青く光る筒をゆっくり左に回し、彼女の過ごした時を遡った。
彼女は幼い頃に事故で両親を亡くし、それでも笑いながらこれまで歩いてきた。
時には孤独で涙を流す夜もあったけれど、決して人に見せることはなかった。
少しの罪悪感を覚えながら今度はぼんやりと赤く光る万華鏡をゆっくりと右に回した。
スライドショーのように彼女の未来がコマ送りで見えた。
覗いた彼女の未来には僕の姿があった。
僕は彼女の元へと走った。